京都市北文化会館ホール
京都市立芸術大学音楽学部・大学院音楽研究科 管・打楽専攻生
若林義人（指揮）
コバ／楽天家に捧ぐ螺旋 （クラリネット四重奏）
ラゴ／「シウダデス」より第２，３，６曲 （サクソフォン四重奏）
ライヒ／木片のための音楽 （打楽器五重奏）
クーツィール／金管五重奏曲 （金管五重奏）
ミヨー／ルネ王の暖炉 （木管五重奏）
スパーク／陽はまた昇る （吹奏楽）
座席：全席自由
|
|
２０２０年１１月１８日（水）19:00開演 京都市北文化会館ホール
京都市立芸術大学音楽学部・大学院音楽研究科 管・打楽専攻生
コバ／楽天家に捧ぐ螺旋 （クラリネット四重奏） 座席：全席自由 |
入場は無料でしたが、事前申込が必要で、先着150名でした。ホールの定員は405席ですが、前後左右を開けるため、客数を減らして開催されました。京都市立芸術大学ホームページの専用フォームから申し込み。入場券のハガキが届きました。早い段階で、予定枚数が終了したようです。
１階の西階段付近で検温。２階のホール入口で入場券のハガキを箱に入れて、机に置かれたプログラムを自分で取りました。プログラムには詳しい曲目解説とともに、演奏者の名前が掲載されました。
プログラム１曲目は、クラリネット四重奏で、コバ作曲／楽天家に捧ぐ螺旋。コバはアコーディオン奏者のcobaで、クラリネットのための作品を作曲していたとは意外でした。ザ・クラリネット・アンサンブルの委嘱で1998年に録音されたＣＤが発売されていて、ずいぶん前に作曲されました。 全日本アンサンブルコンテストで演奏されることがあるようです。和音の使い方がアコーディオン奏者らしい。リズムもユニーク。中盤で４人が足踏みして音を鳴らす意外性もあります。
次の曲までの間に、司会の学生が登場して曲目を紹介。毎回交代で担当しました。セッティングを担当するメンバーが、イスや譜面台を拭いて消毒しました。
プログラム２曲目は、サクソフォン四重奏で、ラゴ作曲／「シウダデス」より第２，３，６曲。「シウダデス」とはスペイン語で、「都市」の意味で、現在も作曲が続いているとのこと。
第２曲「サラエボ（ボスニア・ヘルツェゴヴィナ）」は、ゆったりとしたテンポで、ソプラノとアルトが弱音から始まり、熱く盛り上がります。第３曲「アディスアベベ（エチオピア）」はスピード感がいい。サックスならではの音の伸びが堪能できました。
第６曲「東京」は、踏切の警報器の音から始まるのがおもしろい。同音を演奏するだけですが、よく表現できています。都会的な喧騒感はあまりなく、きらびやかな雰囲気です。演奏は、コロナで練習に制約があったとは思えない完成度でした、なお、この作品は、来年２月の「第4回京都市立芸術大学サクソフォン専攻生によるアンサンブルコンサート「Saxtation」」でも演奏されるようなので、楽しみです。
プログラム３曲目は、打楽器五重奏で、ライヒ作曲／木片のための音楽。1973年に作曲されました。木片（クラベス）だけで演奏されます。５人が立って演奏。譜面台もありません。
中央の奏者が同じリズムをずっと叩き続けて、次第に奏者が一人ずつ増えていきます。楽器の音の高さはそれぞれ違います。スコアに「繰り返し自由」という指示があるようで、入りのタイミングは任意ということでしょう。４人のリズムがそろって頂点を迎えますが、２人に減って、そこからまた盛り上がります。これが３回繰り返されました。ずっと聴いていると、宗教的なものを感じて、異次元に連れて行かれそうになります。
延々と続きましたが、いきなりパタッと終わりました。前触れもなく見事に終わったので、終わるタイミングの合図をどうやって合わせたのか知りたいです。
プログラム４曲目は、金管五重奏で、クーツィール作曲／金管五重奏曲。左から、トランペット２、ホルン、テューバ、トロンボーンの配置。３楽章からなります。トランペットがやや不調で、作品もいまひとつでぱっとしませんでした。
プログラム５曲目は、木管五重奏で、ミヨー作曲／ルネ王の暖炉。左から、フルート、オーボエ、ホルン、ファゴット、クラリネットの配置。７曲からなります。とてもまとまったアンサンブルで、ホルンとファゴットのブレンド感もちょうどいい。７曲目はフルートがピッコロに持ち替えました。
プログラム最後の６曲目は、吹奏楽で、スパーク作曲／陽はまた昇る。指揮者の若林義人（京都市立芸術大学音楽学部管・打楽専攻非常勤講師、龍谷大学吹奏楽部音楽監督・常任指揮者、相愛大学非常勤講師）と、村上哲（京都市立芸術大学音楽学部管・打楽専攻准教授）が登場。 若林は「吹奏楽のコンサートは、本来は６月に開催していたが、開催できなかったので、今日は１曲だけお送りする。 前期はオンラインレッスンになったが、苦手だったパソコンができるようになった」と話しました。 村上は「今日はコロナ後の初めての一般公開の演奏会となる。これまではYouTubeなどの配信だった。この間、演奏会がなく、音楽の必要性が疑わしく思われる状況もあった。指揮者の沼尻竜典は「芸術は水道の蛇口ではない。いったん止めてしまうと、次にひねっても出なくなる」と語っていて、細々でも流し続けることが必要と考えている。 「陽はまた昇る」は、東日本大震災の後に、スパークが編曲された。自分は震災の２ヶ月後にすみだトリフォニーホールで演奏したが、当時と現在は状況が似ているかもしれない。管・打楽専攻のメンバーは本当は60人ほどいるが、これから演奏するのは32人しかいない。４回生と修士２回生を舞台に立たせずに卒業させられないと考えた」と熱い思いを語りました。 若林は指揮台で指揮。テューバとバリトンサックス以外は立って演奏しました。各奏者がのびのびと演奏。20:30に終演しました。
演奏者のほとんどが３回生以上でしたが、新型コロナウイルスの影響を感じさせない完成度の高い演奏でした。奏者間は離れすぎではないものの、少し距離はありましたが、演奏に支障は感じませんでした。選曲もよく、音楽を演奏できる喜びが伝わるいきいきとした演奏でした。 まだ学内の教室は予約しないと使えないと村上が話していましたが、「陽はまた昇る」ことを信じて、頑張ってほしいです。
(2020.11.25記)
