京都コンサートホール・ロビーコンサートVol.3「石上真由子 ヴァイオリンコンサート」


2020年2月22日(土)11:00開演
京都コンサートホール1階エントランスホール

石上真由子(ヴァイオリン)

パガニーニ/「24の奇想曲」より第1番
サーリアホ/ノクターン
プロコフィエフ/「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」より第1楽章
バルトーク/「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」より第4楽章
J.S.バッハ/「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番」より「シャコンヌ」

座席:50番


京都コンサートホールのロビーコンサートに初めて行きました。2019年度から始まった新シリーズで、今回が3回目。過去2回は、Vol.1「高本一郎 リュートコンサート」(2019.6.22)、Vol.2「Moving Exo in 京都コンサートホール」(2019.8.24)でした。いずれも土曜日の朝11:00開演で、公演時間は40分間は共通しています。入場無料で整理券も不要です。午前中の公演は珍しい。

第3回となる今回は、石上(いしがみ)真由子によるヴァイオリンコンサートでした。石上は京都市出身。同志社高校を経て、京都府立医科大学医学部医学科を卒業し、医師免許を取得しました。ヴァイオリニストとしては異色の経歴です。「佐渡裕とスーパーキッズ・オーケストラ」や「京都ジュニアオーケストラ」でコンサート・ミストレスも経験しています。学問と音楽を両立させたところがすばらしい。EMSEMBLE AMOIBE(アンサンブル・アモイべ)を主宰し、室内楽でも注目すべき活躍を見せ、最近では、京都コンサートホール「Join us!〜キョウト・ミュージック・アウトリーチ〜」第1期登録アーティストを務め、令和元年度の京都市芸術新人賞も受賞しました。

場所は、京都コンサートホール1階のエントランスホール。普段ここでは公演は行われません。床面が錯視のような模様で、12本の柱が円形に配置されています。10:30開場、11:00開演でしたが、「京都コンサートホール・メールマガジン」によると、10:00から椅子券100枚を先着順で配布するとのこと。10:20頃に到着したところ、50番の椅子券をもらえました。10:30には椅子券の配布は終了したようです。

開場時に入口でプログラムが配布されました。椅子券は座席指定でしたが、50番は2列目の真ん中のいい席でした。ラッキー。エントランスホールを取り囲むスロープにも多くの人が集まり、3連休初日の朝で、あいにくの雨模様でしたが、250名くらい集まりました。おそらくホール側の想定以上の来場者数でしょう。

石上がグレーのドレスで登場。さっそく演奏。事前に発表されていたプログラムは「シャコンヌ」だけで、他の4曲は当日発表でしたが、4曲を続けて演奏しました。譜面台は置かれていましたが、ほとんど暗譜でした。

プログラム1曲目は、パガニーニ作曲/「24の奇想曲」より第1番。イツァーク・パールマンのように爆走するかと思いきや、ゆっくりしたテンポで歌が感じられました。途中でパウゼを入れるなど、この曲の演奏としてはユニークと言えるでしょう。
続けてプログラム2曲目は、サーリアホ作曲/ノクターン。サーリアホはフィンランド出身の女性作曲家ですが、不協和音が長い音符で続き、「ノクターン」らしくない作品。弓を弦に強く押し付けるような奏法もありました。
続けてプログラム3曲目は、プロコフィエフ作曲/「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」より第1楽章。なめらかな歌とトゥッティの対比が鮮やか。
続けてプログラム4曲目は、バルトーク作曲/「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」より第4楽章。細かな音符が多く、スピード感がありました。

譜面台が撤去されて、石上がトーク。「今回のプログラムは先に「シャコンヌ」が決まっていたので、前半の選曲をどうするか考えた。Twitterでもクイズとして出題していた」と話しました。石上のTwitter(@MayukoIshigami)には「バッハ以外の演奏曲は、一見まとまりがないようですが、ある意図を持って選曲しました。ヴィオラでもなくチェロでもなく、ヴァイオリンだからこそのテーマ。(←これめちゃめちゃヒントです。)」と投稿していました。

テーマを考えながら聴いていましたが、まったくわかりませんでした。石上が種明かしをして、ヴァイオリンの4つの弦に調性があった曲が演奏されたということ。すなわち、1曲目は1弦のE線、2曲目は2弦のA線、3曲目は3弦のD線、4曲目は4弦のG線。確かにヴァイオリンならではのテーマです。4曲の解説はTwitterに後日掲載するとのことです。なお、開演前には、私服で「シャコンヌ」をリハーサルする動画がTwitterに掲載されました。

プログラム5曲目は、J.S.バッハ作曲/「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番」より「シャコンヌ」。冒頭から短めの音符で速めのテンポ。強弱や緩急のメリハリがついています。中間部はなめらか。後半は別の作品のように静かに歌いました。最後もゆっくり静かに終わりました。時間通り11:40に終演しました。

京都コンサートホール・ロビーコンサートは2020年度も3回開催されます。「アットホームなコンサートを目指しています」とのことなので、気軽に音楽が聴ける環境があるのはうれしいです。せっかくなので終演後にサイン会などがあればよいですね。なお、ロビーコンサートのプログラムを持参すれば、京都コンサートホール周辺の飲食店で、コンサート当日のランチで特典が受けられたようです。土曜日の朝のちょっとしたお出かけのきっかけになればいいですね。


ロビーコンサート案内掲示 開演前のエントランスホール

 

(2020.3.8記)


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