京都市交響楽団練習風景公開


   
      
2011年11月12日(土)10:30開演
京都市交響楽団練習場

宮本文昭指揮/京都市交響楽団

R.シュトラウス/「ばらの騎士」組曲

座席:全席自由


毎月恒例の京都市交響楽団練習風景公開に行きました。往復ハガキで申し込んだところ、ひさびさに当選。翌日に京都コンサートホールで行なわれる「ローム ミュージック ファンデーション 創立20周年記念コンサート 熊本マリ ピアノコンチェルト 〜ドイツ ロマン派の冒険〜」の本番前日練習です。
指揮は宮本文昭。2007年にオーボエの演奏活動から引退した後、指揮者として活躍しています。「タモリ倶楽部」にも出演していました。2012年4月から東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の初代音楽監督に就任する予定です。京都市交響楽団を指揮するのは今回が初めてとのこと。東京音楽大学器楽専攻教授も務めているので、広上淳一の同僚ということになります。

10:00前に着いたところ、客席には誰もおらず私が一番乗りでした。オーケストラ団員はすでに音出しを始めていました。練習曲目は、R.シュトラウス作曲/「ばらの騎士」組曲。本番では1曲目に演奏する曲です。
10:25頃に宮本文昭がスコアを持って指揮台に登場。やや茶髪で、黒の長袖シャツ、黒のジーパンに、首にマフラーをかけていました。コンサートマスターの泉原隆志と何か話した後は、指揮台の後ろで腕を組んでオーケストラの音出しを聴いていました。宮本文昭は1949年生まれなので、今年で62歳。広上淳一よりも約10歳も年上ですが、若く見えます。

10:30に音が鳴りやんで事務局から事務連絡。今日の練習は昨日と同じ順番で行なうとのことなので、この日は練習2日目のようです。コンサートマスターの泉原が立ち上がってチューニング。宮本が「おはようございます」とあいさつ、振り返って客席にも「おはようございます」と一礼しました。「頭から行きましょう」と話して練習開始。
イスは使わずに立って指揮しました。指揮棒は使いません。頻繁に演奏を止めながら練習しました。スピードをつけて、両手両足を使った激しい指揮。立ち位置も頻繁に変えて、指揮台の上をよく動きます。スコアも音を立ててすばやくめくります。暑いようで、マフラーで汗を拭いていました。スタッフが気を使ったようで、しばらくするとクーラーが入りました。
冒頭から演奏を始めましたが、しばらくすると止めて、再度「おはようございます」と挨拶。まだ音が寝ていたということでしょう。「朝からこれをやるのは大変だと思いますが」「ワクワクドキドキしている感じで」と話しました。「遅くなるのが嫌なので半分で振っている」などと指揮の意図も解説。
オーケストラへの指示は非常に早口。口調はとても丁寧で、「頑張りすぎかもしれないな」「pが小さくなりすぎてるかもしれないね」「着地点が分かるように」「sfがもうちょっとあるとよりはっきりする」「テヌート気味だとうれしい」「減衰しすぎると残念かもしれない」「急ぎすぎない」「前打音を気にしすぎないように。リズムに乗ることが大事」などと謙虚に話しました。ヴァイオリンに対して「空気入れてもらえますか」という指示は管楽器奏者出身らしい。
演奏に対しても「みなさんすごく反応してくださる」「うまいね」「すばらしい」などと絶賛。「僕はピエロみたいだから」「信頼してますから大丈夫」「僕とコンサートマスターを半々で見てください。僕はあんまり当てにならない」などとへりくだった話し方もしました。
途中でペットボトルを飲んで「あー」と声を出して一服。「60過ぎて老骨に鞭打ってやってます」と話しました。
変幻自在の曲で指揮するのも難しそうですが、オーケストラ全体でアンサンブルができていることを重視していました。強弱のダイナミクスもはっきりつけました。また、ソロでは奏者同士がアイコンタクトをとることを求めました。
京都市交響楽団の演奏も完成度が高い。ヴァイオリンがとても美しい音色。金管楽器の鳴りも最高。最後の大太鼓の連打は、ピアノからのクレシェンドに変更しました。11:35に休憩に入りました。

宮本文昭はまだ駆け出しの若い指揮者のように、オーケストラに気を使って接していました。午前の練習時間を少しオーバーしたので、申し訳なさそうに恐縮していました。オーボエ奏者としての知名度は抜群ですが、指揮者としての活動は始まったばかりということでしょうか。謙虚な態度が意外でした。大ぶりの指揮でしたが、京都市交響楽団のいいところを引き出していたように思います。京都市交響楽団の演奏はまたさらにレベルアップしたように感じました。

(2011.11.16記)


京都市交響楽団練習場



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