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2006年5月3日(祝・水)20:45開演 東京国際フォーラムホールA(アマデウス) ミシェル・コルボ指揮/シンフォニア・ヴァルソヴィア モーツァルト/レクイエム(モーツァルトによるオリジナル版) 座席:S席 1階 16列28番 |
昨年のゴールデンウィーク期間中に開催された「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2005「ベートーヴェンと仲間たち」」は、32万人以上の来場者があり、クラシックの音楽イベントとして大成功を収めました。今年は、生誕250年のモーツァルトをテーマに「モーツァルトと仲間たち」が開催されました。昨年は3日間の開催でしたが、今年は4日間。ぴあから発売された『公式ガイドブック』(1,000円)を購入して東京に向かいました。
すでに10月から「熱狂の日」フレンズを無料で募り、メールマガジンで音楽祭の最新情報を配信していました。昨年開催して知名度が高まったことと、有名なモーツァルトをテーマにしていることもあって、今年は前売り段階で完売する公演が続出。昨年大行列ができていた当日券のチケットブースは閑散としていました。多くの人があらかじめ前売券を購入して来場したようです。公演プログラムが掲示されていましたが、ほとんどの公演に「SOLD OUT」のシールが貼ってありました。関連グッズも今年は種類が増えて、販売する「モーツァルト市場(A展示室)」は大混雑でした。「展示ホール(ヨーゼフ�鏡ぁ法廚任蓮∈鯒�同様無料公演が開催されていて、チケットか半券を提示すれば自由に出入りできました。昨年は私語が多くほとんどの人が聴いていないような状態でしたが、今年はイスに座ったり立ち止まって静かに聴いていました。聴衆の変化にちょっとびっくり。また、ぶらあぼ『公式アフターガイドブック』を無料で配布していました。
約150の有料公演のなかから、ミシェル・コルボがモーツァルトのレクイエムを指揮する公演を選びました。『公式ガイドブック』によると、ミシェル・コルボは、意外にも海外の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」に何度か参加しているようです。フォーレのレクイエムのCDで、合唱の美しい演奏を聴かせていることもあり、モーツァルトのレクイエムでも期待大。会場はホールA(アマデウス)で、開演が20:45という遅さ。共演のローザンヌ声楽アンサンブルは、コルボが創設した合唱団。シンフォニア・ヴァルソヴィアは、ポーランドのオーケストラです。座席ですが、昨年(2階席)の経験を踏まえて、今回は1階席にしました。
チケットは当日券を含めて完売。演奏曲目は、『公式ガイドブック』やホームページには、レクイエムとしか記載されていませんでしたが、会場に設置されていたパンフレットには、レクイエム(モーツァルトによるオリジナル版)とレクイエム(ジュスマイヤー版)が併記されていました。どういうことなのか期待しながら、開演を待ちました。
シンフォニア・ヴァルソヴィアのメンバー約40名が登場、続いてローザンヌ声楽アンサンブル約35名が登場。前列にソプラノとアルト、後列にテノールとバリトンが並びました。最後に、独唱の4人とコルボがゆっくりと登場。独唱者は、合唱団の一列目に、左から、ソプラノ、アルト、テノール、バスの順に座りました。コルボは恰幅のある紳士という印象。指揮台はありませんでした。
演奏がスタート。いきなり「Dies irae(怒りの日)」から始まったのでびっくり。続いて、「Tuba mirum(奇しきラッパの音)」「Rex tremendae(御稜威の大王)」「Recordare(思い出したまえ)」「Confutatis(呪われしものどもを罰し)」が演奏されました。続く「Lacrimosa(涙の日)」は8小節でブチッと演奏を止めました。ここで絶筆になったことが分かり、悲しい気分になりました。その後、「Domine Jesu(主イエズス)」を演奏し、「Hostia et preces(讃美のいけにえ)」を途中まで演奏してブチッと終わりました。ここまでが、レクイエム(モーツァルトによるオリジナル版)の演奏でした。楽器編成はトロンボーンとティンパニを欠く編成でした。「Recordare(思い出したまえ)」では、コルボの指示でアルト独唱とテノール独唱の立ち位置が入れ替わりました。どういう意図があるのでしょうか。
トロンボーン奏者4名とティンパニ奏者1名が入場。オーケストラは楽譜を入れ替えて、レクイエム(ジュスマイヤー版)の演奏が始まりました。「Requiem(入祭誦)」「Kryie(主、あわれみたまえ)」「Dies irae(怒りの日)」「Tuba mirum(奇しきラッパの音)」「Rex tremendae(御稜威の大王)」「Recordare(思い出したまえ)」「Confutatis(呪われしものどもを罰し)」「Lacrimosa(涙の日)」「Domine Jesu(主イエズス)」「Hostia et preces(讃美のいけにえ)」「Sanctus(聖なるかな)」「Benedictus(祝せられたまえ)」「Agnus Dei(神の子羊)」「Lux aeterna(永遠の光)」の順に演奏。「Dies irae(怒りの日)」以降の曲は、2回聴くことになりましたが、さきほどの「モーツァルトによるオリジナル版」よりも少し速めのテンポで演奏していました。補作したジュスマイヤーのオーケストレーションは未熟だと評する向きもあるようですが、「モーツァルトによるオリジナル版」よりも「ジュスマイヤー版」のほうがよくできたオーケストレーションだと思いました。もっとも「ジュスマイヤー版」のほうが演奏し慣れているからかもしれません。「Kryie(主、あわれみたまえ)」では、合唱団は「Kyrie ele」まで歌うと、あとは音量をぐっと落として歌いました。「Recordare(思い出したまえ)」では、さきほどと同様アルト独唱とテノール独唱の立ち位置が入れ替わりました。よほどのこだわりがあるようです。
演奏ですが、まずローザンヌ声楽アンサンブルの合唱がすばらしい。ピッチが正確でクリアー。まとまりがあって密度が濃い合唱なので、よく響きました。ただし、やさしい歌い方で、音量が大きくないため、ところどころオーケストラに埋もれがちになるのが残念でした。
独唱は、ソプラノの声量が弱くバランスが悪い。合唱団と独唱は、曲間など歌わないときはコルボの指示で立ったり座ったりしました。
シンフォニア・ヴァルソヴィアの演奏は、最初は縦線のズレが少し気になりましたが、以降はそれほど問題に感じませんでした。
コルボは的確な指揮で、作品に対する真摯な態度が感じられました。
演奏終了後は、コルボに大きな拍手が送られました。スタンディング・オベーションをしている人もいたので、熱烈なファンがいるようです。退場が大混雑。すごい人でした。しかし、こんなに夜遅くの公演なのにこれだけの人を集めるパワーはすごいですね。モーツァルトの知名度と訴求力によるものでしょうが、不思議な感じがしました。
レクイエムの2つの版を連続して聴けたことでいい勉強になりました。しかし、この作品の成立過程についてはいろいろ議論があるようです。現在多く見られる意見としては、モーツァルトが作曲した部分は、「Requiem(入祭誦)」「Kryie(主、あわれみたまえ)」「Dies irae(怒りの日)」(8小節まで)「Tuba mirum(奇しきラッパの音)」「Rex tremendae(御稜威の大王)」「Recordare(思い出したまえ)」「Confutatis(呪われしものどもを罰し)」「Lacrimosa(涙の日)」「Domine Jesu(主イエズス)」「Hostia et preces(讃美のいけにえ)」がモーツァルトが手がけた部分とされています。今回のコルボの演奏では、「Requiem(入祭誦)」「Kryie(主、あわれみたまえ)」が「モーツァルトによるオリジナル版」として演奏されませんでした。コルボの解釈でしょうか。これからいろいろ勉強したいです。
ホールの音響ですが、1階席は3階席よりも直接音が多く届きましたが、それでも間接音が多く含まれた音響でした。オーケストラ(特に弦楽器)は、反響板の音を聴いているような印象で響きすぎ。輪郭が分かりませんでした。いい演奏でしたが、もう少しいいホールで聴きたかったですね。ミシェル・コルボは、5日にもホールCでレクイエムを演奏しました。ホールA(5,012席)よりもホールC(1,502席)の方がホールの音響はよかったでしょう。残念。
今年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2006「モーツァルトと仲間たち」は、あわせて695,000人の来場者を集めたようです。ゴールデンウィークのイベントとして定着しつつあります。聴衆の鑑賞態度や意識が昨年よりも向上しているのが喜ばしいです。
来年以降の予定ですが、『公式ガイドブック』によると、2007年は「民族のハーモニー」あるいは「国民楽派」。2008年は「シューベルトと仲間たち」をテーマに開催されるようです。
(2006.5.20記)