ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団来日公演


   
      
2005年2月19日(土)17:00開演
京都コンサートホール大ホール

ヘルベルト・ブロムシュテット指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

〔プログラムA〕
メンデルスゾーン/交響曲第4番「イタリア」
ブルックナー/交響曲第7番(ハース版)

座席:S席 3階 C−1列20番


2005年聴き初めは、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の通算17回目の日本ツアーです。第18代カペルマイスター(楽長)を務めるヘルベルト・ブロムシュテットとの日本公演は今回で3回目ですが、今年7月に退任するため(後任はリッカルド・シャイー)、最後の日本公演となりました。この京都公演がツアー初日です。
プログラムを1,000円で購入。客席は9割程度の入り。京都以西では公演がないため、そこそこ埋まってました。

団員が拍手で迎えられてチューニング。管楽器、弦楽器の順に合わせますが、管楽器はすぐに終わる(ほとんど吹いてない?)のが面白い。オーケストラの配置は、弦楽器が、向かって左から、第1ヴァイオリン−チェロ−ヴィオラ−第2ヴァイオリンの対向配置。コントラバスはチェロの後方に配置されていました。また、ヴァイオリン奏者を指揮台の左右(ステージから見れば最前列)には数人しか配置せず、それ以外は2列目以降に配置していました。これは、プログラムに掲載されていた写真を見た限りでは、本拠地のゲヴァントハウスのステージの形に合わせた配置のようです。
ヘルベルト・ブロムシュテットが登場。2曲とも譜面台なしで指揮しました。

プログラム1曲目は、メンデルスゾーン/交響曲第4番「イタリア」。メンデルスゾーンは、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団カペルマイスターを務め、大きく発展させた功績があります。演奏は、全体的に弦楽器があまり聴こえないのが気になりました。対向配置のため、ヴァイオリンの響きが分散してしまってまとまって聴こえません。また、コントラバスは4本でしたが、音量的に物足りなく感じました。それに対して、ティンパニがやや大きめの音量で気になりました。
オーケストラは技術的にとても鍛えられていて、完璧な精度をまじめに目指しているように感じました。縦線や音型など統一感がありましたが、その分直線的であまり響かず、こじんまりした印象を受けました。全体的に速めのテンポで、第4楽章は一生懸命になってブロムシュテットのスピード感のある指揮棒についていっていました。しかし、メンデルスゾーンがこの作品に込めたとされるイタリアへの憧れや喜びは感じ取れませんでした。ドイツのオーケストラらしい演奏でした。

休憩後のプログラム2曲目は、ブルックナー/交響曲第7番(ハース版)。この作品は、ニキシュ指揮のライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によって初演されています。初演したという誇りと自信が感じられる演奏でした。音符を短めに処理して、曇りのない明瞭な音型を聴かせました。弦楽器による弱奏のトレモロが安定した演奏で、一糸乱れぬアンサンブルを聴かせるだけでなく、音量を緻密にコントロールしていました。響きの美しさも特筆すべきで、第1楽章の最後の一音など、厳かな響きがホールを満たしました。インテンポでさらりと流して、ところどころで句読点とでも言えるような区切りや着地点をつけていたのが印象に残りました。私としては、もう少し感情を爆発させる部分があってもいいように思いました。
楽器別では、ステージ右奥に陣取ったトランペット3本、トロンボーン3本と、左側のホルンが強力。ただし、ティンパニは少し目立ちすぎ。
第2楽章は、テューバ奏者をステージ右奥のトロンボーンの隣の席から、ステージ左のワーグナーテューバの隣に移動させました。どういう意図があったのかはよく分かりません。この作品を生で聴いたのは今回が初めてでしたが、CDで聴くときは感じなかったのですが、やはり第2楽章は長いですね。

カーテンコールでは、ヘルベルト・ブロムシュテットに大きな拍手が送られました。楽団員が引き揚げた後も拍手が続き、ブロムシュテットが拍手に応じていました。ブルックナーファンは感銘を受けたようです。

ヘルベルト・ブロムシュテットは、NHK交響楽団の名誉指揮者を務めているだけあって、日本になじみが深い指揮者だと思います。熱心なファンがいるようです。小細工を加えず、スコアに再現するスタンスに好感が持てました。

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団は、ドイツではワンランク下のオーケストラだと思っていましたが、思い込みでした。軍隊のようによく訓練されていて、整備されたアンサンブルを聴かせました。また、弦楽器の澄んだ音色が印象に残りました。

(2005.2.23記)




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